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ジャニヲタと就活【自分で自分に5000字インタビュー】

21卒ジャニヲタの就活体験談

――就活お疲れさまでした。まずは無事第一志望の企業から内定をもらったときの気持ちを聞かせてください。

「ひたすら『よっしゃ~!』って思いましたね。自分の思い、経験、考え方、将来やりたいこと……面接のたびにありのままの自分の言葉を聞いてもらえて、それがきちんと伝わって、一緒に働こうって言ってもらえたのが本当にうれしかったです」

 

――なんでその企業を志望してたんですか?

「自分とめちゃくちゃ”合う”、って感じたからです。企業理念みたいな大きい価値観の部分ももちろんですが、評価制度とか休みとか仕事内容とかの細かい部分もそうです。あとは実際にお会いした社員さんがみなさん素敵で、この人たちとは絶対に気が”合う”とも思いました」

 

――合わないと感じる企業も中にはありましたか?

「そうですね。インターンシップだったり企業説明会だったりで話を聞いて、あとは選考の過程で面接をいろいろ受けて、多数の企業に触れるほど会社ごとの違いがわかっていきました。やっぱり自分が合うと思っている企業には評価してもらえることが多かったかな。そういう意味で就活はマッチングというのはひしひしと実感しました」

 

――就活、やってみると意外とこうだったな、とかあります?

「良くも悪くも自分自身の内面を見られるんだなって思いました。やっぱりイメージだと、『ボランティアしました!』『留学してました!』みたいなアピール合戦なのかなあ……って思ってたんですが、全然そんなことはなくて。よくガクチカ(学生時代に力を入れたこと)とか言いますけど、その”こと”自体はそんなに重要じゃなくて、なんでそれをしたのかとか、そこでどういう壁を乗り越えて成長したとか、普段から自分はこういう価値観を持ってるからこんな行動をしたとか、どの企業もそういう考え方を聞いてくれました。そのアウトプットをきちんとできて、それがその企業にマッチしてたら、いい結果がもらえるってことなんだなと」

 

――ガクチカは何を言ってたんですか?

「企業に合わせて選んでましたけど、多くはバイトと検定取得*1かなあ。『力を入れたこと』から考えようとすると、そんな大したことしてないし……って考えちゃいがちなんですけど、『自分ってどういういいところがあるのかな』って考えて、それを表すエピソードトークとして自分の経験を話す、っていう順番で考えたら自然と見つかったなって思います」

 

――面接ではどういう質問が多かったですか?

ガクチカとか挑戦したことっていう質問も多かったし、その経験をその会社で活かすなら?とか、実際にやってみたい仕事とか実現したいことは?とかも多いです。あなたの強みと弱みも定番でしたね。志望理由は、企業選びの軸とか、なぜその業界を志望するか、他社はどこを受けてて今どこまで進んでるか、他社と比べてなぜうちなの?というように聞かれることがけっこう多かったかな」

 

――困った質問とかがあったら教えてください。

「その業界の今後とかは考えを深めきれてないことも多くて、相手はそこで働くプロなので、浅い考えで話すと追及質問を受けてしまい、焦ることはありました。あとはどんどん話が広がっていくうちに『幸せとは何か』って聞かれたことも(笑)。嬉しい誤算だったのは、ESの細かい趣味・特技欄もしっかり埋めておいたら、興味を持って聞いてもらえたりもしました。どれもしっかり事前に自己分析や企業研究をして、自分なりの考えを整理して話せるようにしておけば、まったく答えられないということはなかったです。全部自分の思うことを正直に話してました」

 

――趣味はジャニヲタって書きました?

「いや、コスメ収集って書いてました! ジャニヲタを深掘りされても、自分のやりたい仕事に役立つ素質や能力はアピールできないなと思ったので(笑)。ジャニーズも、たとえばCMの制作会見とかでは、その商品に合わせてコメントするじゃないですか。面接も、雑誌インタビューとか記者会見みたいにどんどん質問をもらって話を広げる場なので、それがアピールポイントになるかどうか考えて話題をチョイスするっていうのは必要だと思います」

 

――では、就活にジャニヲタが活かせたことは?

「それはいっぱいあります。ジェンダーとかセクシュアリティの問題にいつか関わってみたい、という話をいろんな企業でしたんですが、そもそもそこに関心を持てたのにはSexy Zoneの影響が大いにありますし。あと、たとえば志望してる企業もそうだし就活そのものもそうですが、ひとつのことにのめり込んで徹底的に情報収集する力は、ジャニヲタというかヲタク気質な部分が功を奏したかんじはあります」

 

 

――面接には中島健人さんになったつもりで臨め、と言いますもんね。

「それは本当に大事かなと思いますよ。(中島)健人さんっていつも自信に満ちている印象を与えられるし、どんな質問にも健人さんらしさを組み込んで答えてる。話し方もはきはきしてるけど落ち着いてるし、具体的なエピソードとか入れて聞き手にわかりやすく伝えてる。そこはすごく自分としても見習おうって思ってましたし、なるべく自信を持って『絶対大丈夫』って無理やりでも思い込むようにしてました。まさに健人さんは就活生のお手本!」

 

苦しいときの支えはジャニーズ(とJO1)

――就活、正直キツかったですか?

「う~ん……キツくなかったといったら嘘になります。実はまだ寒い時期に1社内々定をいただいていて。内定承諾のお返事を3月いっぱいでしなきゃいけないところを、無理言って特別に5月まで待ってもらえることになったんです。本当なら5月ごろにはうまくいけばどこかしら他にも内々定をいただけるはずで、そうしたらその企業は志望度としては正直低かったので、お断りのご連絡をしようと思ってました。でも、4月5月はご存知のとおり緊急事態宣言が出て、5月中に最終選考までたどり着けるスケジュールの企業はもうなくなっちゃったんですよね」

 

――ということは、妥協して志望度の低い企業に入るか、保持してる内々定を辞退してまたふりだしから第一志望を目指すか、の選択を迫られたと。

「そういうことです。それで、前者を選んだら自分は絶対後悔するなと思って。チャレンジしないで終わるのだけは絶対嫌だと思ったので、自分を信じてやるしかないと覚悟を決めました。結果的にはそれで必死になれたから夢を叶えられたってことだと思いますが、そこからの道のりはしんどかったですね」

 

――どんなときがいちばんしんどかったんですか?

「正直自分の中では志望順位の低い、言ってしまえば滑り止めのつもりの企業にバリバリ落ちて、残ってるのが5社、しかもいわゆる大手ばかり……とかになってきたときですね。『ここでさえ落ちるのに第一志望なんか自分には到底無理なんじゃないか、残り全部落ちたらどうしよう』っていう不安がどんどん大きくなってきたのは堪えました……。でも、失礼な話ですが、志望度の低い企業には真剣に向き合いきれてなかったから、そりゃ落とされて当然なんですよね」

 

――しんどいときの支えはやっぱりジャニーズ?

「そうですね。ジャニーズを見れば絶対幸せになれるし、就活のことは見てる間は忘れられるし、いい意味で思考停止できるかんじがあって。負のスパイラルに陥りそうになったらジャニーズ補給、ってかんじでした。あとはJO1*2も就活が始まるか始まらないかのタイミングでハマったんですが、その中に1人就活も経験して、でも内定を辞退してアイドルの夢に挑んで、実際に叶えてるメンバーがいるんです。そこはすごく勇気をもらった存在かなと思います。あとはもちろん家族とか友人にはめちゃくちゃ支えられました」

 

 

――家族からもらった言葉で印象に残ってるものってありますか?

「いろんな会社に落ちまくって超不安になってるときにも、両親には強がってしまって『大丈夫だよ』みたいに心配かけないような言葉しか言えなくて。それを知ってか知らずか、『やりたいようにやりな』『〇〇なら大丈夫だから自信持って』『大丈夫だから焦らずに』って言われたときは、グッときましたね。両親が自分のやりたいことを絶対に応援してくれるっていうのは、すごく恵まれてるなあって感じます」

 

――友達とのエピソードもあったらぜひ。

「友人たちもみんな本当に応援してくれてることが伝わってきて、ひとつひとつがすごくうれしかったんですけど、『〇〇を落とす企業はもったいないことしてる』って言ってもらったのとかめちゃくちゃ励まされました。すべては第一志望までの道のりであり、落とした企業を後悔させちゃうぞ~ぐらいの気持ちでいかなきゃ!っていう、強気で自信満々なマインドを取り戻せたんですよね。あとかれこれ17年の付き合いの親友が第一志望に内定もらったっていう報告をくれたときは、そこに行きたいって想いは伝わるんだなって思いましたし、あとに続こうっていう気持ちになりました」

 

自分を知ること、知ってもらうこと

――逆に、就活しててよかったことはありますか?

「単純に、いろんな企業のいろんな社会人の方と話せるのはおもしろいなあって思いました。あとは自己分析してて、人生でここまで自分について考えたことなんてなかったので、改めて自分の長所を知ることができたのもよかったです。あとは就活したら将来の夢ができました」

 

――どういうこと?

「就活を始めたばかりのころは、『こういう仕事がおもしろそうだからやってみたい』みたいな狭い視野でしか将来を考えてなかったんですよね。でも、選考が進むにつれて『どういう仕事がしたくて、それでどんなことを実現させたいのか、なんでそれを成し遂げたいのか』に太い一本の筋が通ってないと、深掘りされたら確実にアウトだなと感じて。それでもっと深く自分と向き合って考えたら少しずつそれが見えてきて、『自分って実はこんな世の中にしたいっていう夢があるのか、それに対してけっこう強い想いを持ってるんだな』って気づけたんですよね」

 

――内定はゴールじゃなくてあくまでスタートですもんね。

「そう、就活中はそんなの綺麗ごとに聞こえるかもしれないけど、入社後を思い描いてワクワクできる会社にはご縁があるんだなと思います」

 

――最後に、読者の方にメッセージを。

「就活は、企業に合わせて偽りの自分を演じて媚びへつらうものじゃなかったです。自分のなりたい姿、叶えたい夢、歩みたい人生を選び取っていくものだった。もしこれから就活に挑む方がこのブログを読んでくださってたら、とことん自分と向き合ったうえで、ありのままの自分を面接で伝えてみてください。自分らしく選考を受けて採用してもらえるのが、お互いにとってベストな”ご縁”だと思います。入試みたいに点数や偏差値で結果が決まるわけじゃない分不安でたまらなくなることもありますが、できる手は尽くして、自分なら大丈夫!って自分自身がいちばん思ってあげることが大切です。夢はきっと叶う!」

 

――たしかにインタビューされてみたい、っていう夢も自作自演でこうやって叶えてますもんね。

「素人の5000字インタビューを読み切ったもの好きなそこのあなたに、素敵なご縁(チケット含む)がありますように!」

 

 

 

*1:秘書技能検定準1級、日本漢字能力検定準1級、日本化粧品検定2級

*2:オーディション番組「PRODUCE 101 JAPAN」で選ばれデビューした11人組男性アイドル